【ストーリー】
19世紀のパリ。オペラ座通りで美しい娘クリスティーヌ・ダーエが、歌いながら新曲の楽譜を売っていた。群衆の中にいたオペラ座のパトロン、フィリップ・ドゥ・シャンドン伯爵は、彼女の歌声と美しさに惹かれ、クリスティーヌがオペラ座で歌のレッスンを受けられるように取り計らう。
その頃オペラ座では、支配人のジェラルド・キャリエールが解任され、新支配人のショレが妻でプリマドンナのカルロッタと共に迎えられていた。キャリエールはこの劇場には幽霊(ファントム)が棲んでおり、「地下には降りてはならない」と忠告するが、ショレはまったく取り合おうとしなかった。
クリスティーヌは、憧れに胸をときめかせオペラ座の楽屋口を訪ねるが、キャリエールが解任されたことを知り愕然とする。しかし楽屋番ジャン・クロードの計らいで新支配人を紹介される。ショレはクリスティーヌにオペラ座一のパトロンがついていると知り、レッスンを受けさせようとするが、クリスティーヌの若さと美貌に嫉妬したカルロッタは彼女を自分の衣装係にしてしまう。それでも、クリスティーヌは憧れのオペラ座にいられるだけで幸せだった。
ある時、まるで天使のように清らかなクリスティーヌの歌声を聞いたファントムは、その声にただ一人彼に深い愛情を注いだ亡き母親を思い起こし、仮面で顔を隠して彼女に近づき歌の指導をはじめる。瞬く間に上達したクリスティーヌを、ファントムはオペラ座の団員たちが集うビストロで歌うことをすすめる。そして天使が舞い降りたかのごとく歌い上げ、場内の喝采を浴びたクリスティーヌは、「フェアリー・クイーン」の主役タイターニア役を射止める。
「フェアリー・クイーン」初日の楽屋。カルロッタは、緊張するクリスティーヌに、「緊張をときほぐす薬」だと盃を差し出した。それが毒だと知らずに飲み干したクリスティーヌは、本番で声を詰まらせ歌うことができなくなってしまう。それはクリスティーヌをつぶすためのカルロッタの策略だったのである。
愛するクリスティーヌを傷つけられ激怒したファントムは、クリスティーヌを地下へと奪い去る。しかしそれが、やがて彼を悲劇の結末へと向かわせる……。
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